CIRS(慢性炎症反応症候群)その2 診断

CIRS(慢性炎症反応症候群) 評価と診断

CIRS(慢性炎症反応症候群)その1 概要

CIRS(慢性炎症反応症候群)その3 治療

※この記事を読む前に免責事項をお読みください。

臨床診断

1 疲労

2 新しい知識の会得が苦手、痛がる、頭痛、光を眩しく感じる

3 記憶の問題、言葉が出てこない

4 集中力

5 関節痛、筋肉のけいれん、朝に体が凝る

6 皮膚感覚の違和感、うずき

7 息切れ、副鼻腔のつまり

8 セキ、喉の渇き、混乱

9 食欲の変化、体温の不規則性、尿の頻度

10 赤目、視界がぼやける、汗をかく、気分が変わりやすい、つきささる痛み

11 腹痛、下痢、しびれ

12 かきむしる、方向感覚を喪失、味覚異常(食べものが金属っぽい味)

13 めまい、静電気へのショック反応

以上の13のクラスターのうち、一つ以上該当するものがあればCIRSの可能性は存在する。※診断基準は満たさない

11歳以下の子供の場合6個かそれ以上、高齢者の場合8個の該当が簡易的な診断基準(カットオフ値)となる。

※この簡易診断はCIRSの診断基準であって、3型アルツハイマーの診断基準ではないので注意

※スクリーニングテストとして使われているが、曝露歴が長い(5年以上)場合の精度は高い。

視覚コントラスト感度試験(VCS)

VCS = visual contrast sensitivity test

「visual contrast test」の画像検索結果

生物毒素自身、また生物毒素によって生じる炎症反応は、視覚機能障害を引き起こすことが示されており、視覚コントラスト感度(VCS)の低下を含む様々な神経学的症状を引き起こす。

シューメーカー博士の研究によると、VCSの低下は、視神経を介して脳に視覚情報を送るさいに赤血球が眼球構造へ届くスピードが低下することによるものである。

VCSテストでは、視覚パターンを検出する能力を測定するために作成された一連の画像が表示される。

生物毒素関連の病気に罹っている人は、このテストで良い結果を出せない。

 VCSテストは非常に正確で、生物毒素関連の病気の診断率92%であり、わずか8%が偽陰性となる。

VCS検査は初診時に行い、後に治療効果を評価するために、通院時に毎回繰り返される。

生物毒素の臨床診断とVCSテストの実施後、診断の確定と病気の重症度を判断するために特定のバイオマーカーを検査して経過観察を行う。

オンラインテスト(英語)

オンラインで受けることのできるVCSテストは2つある。

サバイビングモールド VCSテスト 有料(推奨)

www.survivingmold.com/store1/online-screening-test

英語ではあるが、選択のオプションによって直接シューメーカー博士へ相談できる。
 
無料ではないが信頼性はもっとも高い。
 
当CIRS関連の情報も、その多くはシューメーカー博士の無償の情報提供に負うところが大きいため、こちらを推奨したい。
 
VCSTest.com

www.vcstest.com/

アカウント登録で無料で受けることができる。寄付をすると詳細な説明と分析を行ってくれる。 テスト時間は10分~15分

いずれも、適切な条件(モニタの明度、コントラスト調整、部屋の証明、モニタまでの距離等)で行わなければ正確な診断は難しい。

サバイビングモールドでは専門家による診断が推奨されている。

HLA遺伝子診断

HLA遺伝子とは

HLAは、遺伝子たんぱく質コード、第6染色体上の遺伝子でヒト白血球抗原を表す。これらの遺伝子は、主に免疫系の作用へと関わる。

hla.or.jp/about/detail/

HLAのタイプ 2つの表記方法

アリル型 遺伝子レベルの表記

抗原型 たんぱく質レベルの表記

ハプロタイプ

対立遺伝子(アレル)の組み合わせのこと

HLA遺伝子には優勢、劣勢の区別がない。

LD値 RD値

観察値と期待値

抗原型タイプ

クラスⅠ A、B、C、キラーT細胞へ提示

クラスⅡ DR、DQ、DP ヘルパーT細胞へ提示

ヘルパーT細胞 = Th1、Th2サイトカインを放出

HLA-DR(ヒト白血球抗原-DR抗原)の主な機能は、免疫系に抗原を提示し、免疫系が身体から異物を無力化、除去できるようにすることにある。

「 抗原 ヒト白血球」の画像検索結果

blogs.yahoo.co.jp/omkjouzva3653/49925945.html

世界人口の25%が、遺伝的脆弱性を持っている。(=少なくとも25%の人が1つのハプロタイプを持っている)

HLA遺伝子 CIRS ハプロタイプ

多重生物毒素感受性ハプロタイプ 4種

4-3-53

11-3 -52B

12-3-52B

14-5-52B

カビ感受性ハプロタイプ 7種

7-2-53

7-3-53

13-6-52A

13-6-52B

13 6〜52C

17-2-52A

18-4-52A

※CIRS患者の95%が4種+7種のうちのひとつを持っている。

HLA遺伝子と疾病との関係

カビ毒感受性が高い:7-2 / 3-53,13-6-52 A / B / C、17-2-52A、18-4-52A

カビ毒感受性のリスクが低い:7-9-53,9-9-53,12-7-52B

複数の病気に感染する可能性:11-3-52B、12-3-52B、4-3-53、14-5-52B

慢性ライム・ボレリア症感受性:15-6-51,16-5-51

Dinoflagellates(毒性藻類)への感受性:4-7-53、4-8-53

慢性疲労症候群に敏感な患者:4-3-53,11-3-52B

多発性硬化症の感受性が高い:15-6-51

MARCoNSの影響を受けやすい:11-7-52B

ガルジシルワクチン反応の影響を受けやすい:11-3-52B

BorreliaのLymerixワクチンによる慢性疲労の影響を受けやすい:4-3-53(DRB1のサブタイプ0401,0402および0404が最悪)

MSH低値の可能性が高い:1-5

セリアック病の感受性:17-2-52A、B、C、7-2-53

運動機能の亢進、自己免疫性を有する可能性が高い:11-3-52B

HLA遺伝子検査機関(日本)

HLA研究所

hla.or.jp/

※現在、個人の検査依頼は受け付けていないそうだ。

CIRS 評価項目

MSH/メラノサイト刺激ホルモン (重要)

正常範囲:35-81 pg/ml

MSHは、下垂体で産生されるホルモンであり、炎症反応や外来からの微生物に対して防御する役割をもつ。

レプチンはMSH産生に影響を与えるが、過剰なサイトカインがレプチン受容体に干渉する炎症反応によってMSHレベルは低下する。

CIRS患者のMSH欠乏は非常に一般的であり、95%が低値を示す。

治療をおこなっても正常なレベルに戻らないことが多い。

MSH低値は、慢性疲労、慢性疼痛(エンドルフィン産生低下)、不眠症(メラトニン産生低下)、性的機能不全および他のホルモン異常への感受性を高める。

健康な人では、レプチンレベルが上昇すると脳により多くのMSHが生成される。

生体毒素関連疾患の患者では、レプチンレベルの上昇が、レプチン受容体とのサイトカイン干渉のためにより多くのMSHの生成をもたらさないことがある。

MSHレベルが上昇しないと身体はより多くのレプチンを産生し、レプチン抵抗性をもたらし、体重増加およびタンパク質の過剰消費を引き起こす。

MSHは、グリアジンペプチドの増加おいても産生され、炎症を予防するために腸管ゲートを閉鎖する重要な役割も果たす。

そのためMSHレベルが低いと炎症の制御が不能になり、腸管ゲートを開いたままにしてしまい、一般に言われるリーキーガットの症候をもつことになる。

MSHが低い患者では、80%がMARCoNS(Multiple Antibiotic Resistant Coagulase Negative Staph)を有している。

MARCoNSは、鼻内細菌のAPI-Staph培養により検出される。

MARCoNSはMSHを減少させる毒素を分泌する。

MSHレベルを正常に戻すためにMARCoNSを治療することが重要。

認知症患者ではMSHが低下しているといわれている。

TGF-β1/トランスフォーミング増殖因子β-1

正常範囲:<2380pg / ml

TGF-β1の主な作用は細胞増殖の抑制、細胞が増殖、分化、運動、破壊(アポトーシス)のプロセス制御に関わるサイトカイン。

炎症の促進または抑制により免疫系も制御する。

TGF-β1の上昇は、免疫応答の過剰応答を示す。

喘息、多発性硬化症、自己免疫疾患などを有する人はしばしばTGF-β1レベルの上昇が認められる。

また上昇したTFG-β1は自己免疫を制御する制御性T細胞の機能を損傷し、自己免疫疾患のリスクを高める。

C4a/補体フラグメント4a

基準値50~250ng/ml 正常範囲:0〜2830ng / ml

C4aは、補体カスケードと呼ばれる先天性免疫系の特定のプロセスを活性化させることに関与するバイオマーカー

水災害を受けた建物の曝露(WDB)による免疫応答の評価に有用。

C4aレベルの上昇は、免疫細胞である好塩基球や肥満細胞を活性化し、平滑筋の収縮を増やし、血管透過性を高め、ミトコンドリアの機能障害を引き起こす。

呼吸困難、疲労、思考や記憶障害、認知能力の機能障害が症状として上げられる。

シューメーカー博士によると、C4a高値は、毛細血管への血流の減少による脳への影響によって、認知能力の低下を引き起こす。

MMP9/マトリックス・メタロプロテアーゼ9

正常範囲 85-332ng/ml

組織修復に関わる亜鉛依存性酵素のひとつ。

血管壁の細胞膜の破壊に関与する酵素であり、血液脳関門を破壊するため、CIRS感染者、アルツハイマー病患者両者とって重要なマーカーとなる。

サイトカイン活性はMMP9を増加させるため、MMP9はサイトカインのシークレットマーカーでもある。

関連疾患

神経突起成長、血管形成、排卵、創傷治療、骨形成など、多くの疾患でMMP9が増加する。

癌、炎症性疾患、ストレス、肥満、心疾患、高血圧、関節炎、糖尿病、多発性硬化症

VEGF/血管内皮増殖因子 

正常値 31-86 pg/ml

血管内皮増殖因子VEGFは、血液循環が不十分な場合酸素を供給するために、血管の成長を刺激する細胞を刺激する、新しい血管を作るためのシグナルタンパク質。

毛細血管の血流が減少して酸素供給が低下すると、低酸素誘導因子HIFが放出される。

HIFはVEGFとエリスロポエチン(EPO)の産生を刺激する。VEGFは血管を新しく作り、EPOは赤血球の産生を増加させることで細胞への酸素供給を増加させる。

CIRSではサイトカインレベルが高いことによって、VEGFが抑制される。

そのため組織への酸素供給が不十分となり、筋肉の痙攣、ポストリッチ症が起こる。

一般的には、ガンとの関連が指摘されており、抗VEGF薬が、がん治療の候補として上がっている。

ADH/抗利尿ホルモン

正常範囲 1.0〜13.3pg / ml

バソプレシンとしても知られている抗利尿ホルモン(ADH)は、視床下部で産生されるホルモンであり、体内の水分を制御し保持する。

浸透圧は、血液(血清)の流体部分にあるナトリウム、カリウム、カルシウムなどの濃度と関連する。

生物毒素の患者では、ADHが低い(または高すぎる)が浸透圧が比較的高い(または低すぎる)ことで、、塩分と水分のバランスの調節が不十分であることが明確に示されている。

患者は、頻繁な排尿、脱水、過度の渇き、および脱水関連の片頭痛を経験する。

血液中のナトリウム(塩分)レベルが水分不足のために上昇するので、患者の汗にはより多くの塩分が含まれる。

増加した塩分によって、静電気による電気ショックを増加させる電池のような電気特性を生じさせる。 

浸透圧の正常範囲 278〜305mOsm / kg

高コルチゾール血症、低体温症および他の異常が含まれる。

検査結果の異常には、MARCoNS(複数抗生物質耐性凝固酵素陰性ブドウ球菌)による鼻腔内コロニー形成および視覚コントラスト感度試験の低下を伴うことが多い。

VIP/血管作動性腸ポリペプチド

正常値 23-63 pg/ml

血管作動性腸管ペプチドVIPは腸、膵臓、脳の視床下部を含む体の多くの場所で産生される非常に重要な神経ペプチド。

MSHと同様に、VIPは体全体の炎症制御に寄与する。

 VIPはまた、血流を調節し、肺動脈(心臓から肺への酸素を拾う動脈)の運動応答を調節するのに役立つ。

VIPレベルが低い患者では、運動中に肺動脈の圧力が高まり、息切れや運動困難を引き起こす。

VIPリプレイスメント12は、慢性疾患患者の健康を回復させるDr. Shoemakerプロトコルの重要な最終ステップ。 

レプチン

男性0.5-13.8ng / ml 女性1.1〜27.5ng / ml

レプチンは「満腹ホルモン」として知られており、脂肪細胞によって産生される。

レプチンは空腹を妨げることによってエネルギーバランスの調節を行う。

レプチンレベルの高値は体内に蓄積された脂肪の量を増加させ、体重増加を引き起こす。

生物毒素関連疾患では、サイトカインが視床下部のレプチン受容体に結合し、レプチンシグナル伝達を妨げ、レプチン抵抗性を生じる。

レプチン抵抗性による体重増加は、CIRS患者において一般的である。

ACTH・コルチゾール

ACTH正常範囲 8〜37pg / ml
コルチゾール正常範囲 午前中:4.3-22.4 午後:3.1-16.7 ncg/dl

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、副腎にコルチゾールを生成させるために下垂体から放出される非常に重要な調節ホルモン。

コルチゾールは副腎によって生成されるステロイドホルモンであり、グルコース(血糖)生成、肝臓でのグリコーゲン貯蔵の調節、免疫調節、そして一般に「闘争または逃走」と呼ばれるストレスへの身体的反応の準備に関与する。

コルチゾールは規則的なパターンで放出される。

早朝に上昇し(午前8時頃にピークを迎え)、夕方に降下する。

炎症や長期の病気によって引き起こされる慢性ストレスは、コルチゾールの概日リズム産生を不規則にし、睡眠障害、血糖不均衡、または感情的なストレスなどの日常のストレス要因に対処する能力を損なわせる。

通常、コルチゾールレベルが上昇または下降すると、ACTHの産生を調節するための信号が視床下部に、そして脳下垂体に送られる。

CIRS患者では、このフィードバック機構はホルモン調節不全のために遮断され、昼間の疲労、夜間不眠、めまい、低血糖などの症状を引き起こす。

AGA(抗グリアジン抗体/Anti-Gliadin Antibodies)

正常範囲 0-19units

抗グリアジン抗体(AGA)は、グルテン中に見出されるグリアジンに応答して産生される。

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などの特定の穀物に含まれるタンパク質。

AGAは、セリアック病に寄与する抗体の1つ。

グルテンは約45%のグリアジンと55%のグルテニンで構成されている。

ヒトの体内ではグリアジンをアミノ酸ペプチドに分解する。

腸の細胞(腸管上皮細胞)は二重扉(インターロックゲート)のように閉鎖されており、分解されたアミノ酸ペプチドを取り込むには、細胞の開口部を形成しなければならない。

健康な人であれば、これらの細胞の開口部は、ペプチドを一度通過させた直後に閉じるようになっている。

一部のCIRS患者およびセリアック病患者では、グリアジンペプチドが腸細胞間の開口部が適切に閉鎖されるのを阻害し、それによって炎症性および免疫反応を引き起こす。

この場合、グルテンを含まない食生活に厳密に従うことが鍵となる。

PAI-1/Plasminogen Activator Inhibitor-1

・プラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)

・抗カルジオリピン抗体(ACA)

・フォンビルブラント因子/Von Willebrand Factor

これらの3つのバイオマーカーすべてが血液凝固において役割を果たす。

CIRSのような炎症状態は、血餅の形成ならびに線維症(結合組織の異常な形成)を増加させるPAI-1の上昇を引き起こす可能性がある。

ACAは、細胞膜中のリン脂質タンパク質を妨害することによって、ヒトの組織を標的とする抗体である。

ACAは、強皮症および狼瘡などの結合組織障害において上昇し、初産の妊娠中絶と関連する。

同時に、PAI-1とACAの組み合わせは、脳卒中、心臓発作、および深部静脈血栓症(DVT)のリスクを強く増加させる。

CIRS患者においては、血液が適切に凝固することを防止し、女性では、鼻血などが見られる後天性フォンビルブラント症候群発症の可能性を示す。

その他

・HPA軸の過剰活性

・認知テスト

皮質に問題をきたすので、100-7などの計算問題に支障が出やすい。

CIRS患者の脳異常

尾状核の萎縮

MRIで分析されたCIRS患者の11の脳領域のうち、対照群と比べて、以下の脳構造に異常が見られた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24946038

脳の部位

kyou89.fc2web.com/cope/co_brain.htm

尾状核の役割

脳の学習と記憶システムに深く関わる。フィードバック処理、

空間情報と運動の実行を統合、四肢の姿勢制御の速度や正確さにも関係

左尾状核は特に単語理解と調音を複数の言語間で切り替えをする時に関わる。そのため言語学習能力、翻訳能力、学習言語のスピーキング流暢性にも関わってくる。

尾状核の障害

尾状核に障害を受けた患者は、やる気を喪失、強迫性障害、多動などのADHD症状を見せる。

アルツハイマー病患者は、健常者と比べて尾状核体積が有意に減少している。

淡蒼球の損傷

「淡蒼球」の画像検索結果

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1455193589

淡蒼球は随意運動の制御に関与する。

損傷を受けると小脳の興奮作用を鎮める働きを失い、痙攣、振戦などの運動障害をもたらす可能性がある。

例えば、犬を撫でるときなどに生じる無意識的な身体活動の細やかな調整にも関わっている。

やる気やモチベーションにも大きく関わる。

CIRS(慢性炎症反応症候群)その1 概要

CIRS(慢性炎症反応症候群)その3 治療

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