cAMPとcGMPの活性 PDE阻害剤(認知症・アルツハイマー)

免責事項をお読みください。

cAMP・cGMP

サイクリックAMP(環状アデノシン一リン酸)およびサイクリックGMP(環状グアノシン一リン酸)は、細胞の情報伝達においてセカンドメッセンジャーとしての役割をもつ重要な親水性環状ヌクレオチド。

cAMPおよびcGMPはいずれも、脳においてより顕著に存在し、脳内で生じる多様な生物学的応答に関与する。

役割

ニューロンの活動の制御、代謝プロセスの制御、化学的および電気的シグナル伝達カスケードを容易にする。

また、イオンチャネルおよびいくつかのプロテインキナーゼの活性化もする。

cAMPとcAMPの増加により脳の神経回路のシグナル伝達が改善を示す可能性がある。

cAMPとcGMPの相違点

cAMPはATPから合成され、cGMPはGTPから合成される。

cAMP合成は、アデニリルシクラーゼによって触媒される。

cGMPの合成はグアニリルシクラーゼによって触媒される。

cAMPは多くの組織で高い濃度を示し、cGMPはほとんどの組織において低い濃度を示す。

cAMPは交感神経に作用し、cGMPは副交感神経に作用する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3503343/

www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13543784.2017.1364360

PDE1~11の特性の概要

www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13543784.2017.1364360

アルツハイマー病患者のcAMP

cAMPとタウの相関

アルツハイマー病患者の脊髄液中のcAMP濃度はタウ蛋白と有意に相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10556645

アルツハイマー病患者の低cGMP

アルツハイマー病患者の脊髄液中のcGMPレベルは(cAMPではない)対照群と比較して有意に低下している。うつ病に罹患しているアルツハイマー病患者ではうつ病ではないアルツハイマー病患者よりもさらにcGMPレベルが低下(p=0.07)しており、認知障害の程度が高いことが示されている。

alzres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13195-017-0245-y

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5343324/

cAMP、cGMPの概日リズム

cGMPはSCNに応答

cGMPは光によるSCN(視交叉上核)の応答と関連して変化することを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11294753

cGMPはcAMPの逆位相

cGMPはcAMPと夜間に逆位相を示し、哺乳類の概日リズムの位相シフトを誘発する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2549549

老化によるcGMPの上昇とcAMPの低下
老化はcAMPおよびcGMPの概日リズム変動へ逆転の効果を示す。

老化によるcGMPの上昇によってライディッヒ細胞のcAMPシグナル伝達が低下する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27915366

ホスホジエステラーゼ/PDE

PDE阻害薬

PDEはcAMPおよびcGMPのホスホジエステル結合を加水分解するため、PDEを阻害することでcAMPおよび/またはcGMPを増加させることができる。

cAMP、cGMPを増加させるPDE阻害剤はアルツハイマー病の治療薬として研究がなされている。

PDEは、細胞内分布、調節機構、酵素的および動態的特性など、いくつかの基準に基づいて11のファミリー(PDE1-11)に分類されている。

現在PDE3阻害剤シロスタゾールと、PDE9阻害剤が、アルツハイマー病患者において臨床研究が行われている。

ちなみに、カフェインは世界で初めて確認されたPDE阻害剤。

PDE1  (cAMP/cGMP)

小脳 記憶形成 中枢神経系、心臓、腎臓、肺、平滑筋に分布

PDE1B

アルツハイマー病 治療標的候補

プルキンエ細胞 cAMP / cGMP

PDE1阻害剤 

ビンポセチン(高用量)

ビンポセチンはPDE5、PDE7B阻害する。

コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネルも直接阻害

PDE阻害とは関係のない経路でNF-κB依存性の炎症阻害作用をもつ。

www.eurekaselect.com/124165/article

PDE2  (cAMP/cGMP)

副腎、心臓、肺、肝臓、血小板、内皮細胞に分布

PDE2A

アルツハイマー病 治療標的候補

皮質、線条体、海馬 cAMP / cGMP

ADマウスのPDE2阻害による記憶障害の改善

www.fasebj.org/doi/abs/10.1096/fasebj.30.1_supplement.707.6

PDE2阻害薬

海馬LTPの亢進

ジオスメチン

www.researchgate.net/publication/8238713_Inhibitory_effects_of_flavonoids_on_phosphodiesterase_isozymes_from_guinea_pig_and_their_structure-activity_relationships

PDE3  (cAMP/cGMP)

心臓、平滑筋、肺、肝臓、血小板、脂肪細胞、免疫細胞に分布

cGMP阻害ホスホジエステラーゼとも呼ばれる。

神経機能には重要な役割を果たさない?

インスリンは赤血球中のPDE3を活性化し、細胞内のcAMPの増加を制限する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20404042/

PDE3B

プロオピオメラノコルチン、神経ペプチドYニューロン

PDE3阻害剤

大脳低灌流記憶の改善 Watanabe et al.

シロスタゾール

シロスタゾールは、PDE3B

PDE4  (cAMP)

アルツハイマー病 治療標的候補

(A,B.C,D) 認知障害の治療標的 cAMP

脳、セルトリ細胞、腎臓、肝臓、心臓、平滑筋、肺、内皮細胞、免疫細胞に分布

PDE4が特異的に脳の大部分の神経炎症細胞で発現する(Boswell-Smith et al.2006)

アルツハイマー病患者の海馬ではPDE4D1およびPDE4D2が増加。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17353396?dopt=Abstract

PDE4阻害剤

阻害薬、炎症保護の可能性、海馬LTP増強

悪心、嘔吐などの副作用により、創薬の期待は薄れていっている。

ロリプラム(抗うつ薬)

マウスの空間記憶機能を増強 cAMPに特異的

睡眠不足はマウスのPDE4遺伝子発現をアップレギュレートする。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2783639/


ロリプラムは、タウオパチーマウスにおいて、前頭皮質および海馬における凝集タウのクリアランスを促進し認知機能を改善させることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26692334?dopt=Abstract

Denbufylline /デンブフィリン

PDE4阻害薬

デンブフィリンの投与を受けたアルツハイマー病患者ではプラセボ群よりも高いMMSEスコアを記録したが統計的に有意ではなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10559567?dopt=Abstract


軽度から中等度に認知症患者へデンブフィリン100mgを1日二回投与 プラセボ群と比べすべての臨床課題に対して改善を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1457622?dopt=Abstract

メセンブレノン(カンナ)

アルカロイド

レンギョウ(Forsythia)

中国漢方薬

journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0115937

その他

ロフルミラスト 重症のCOPD患者に用いられる。

PDE4 inhibition in young healthy adults improves memory: a translational approach

アプレミラスト 乾癬治療薬

クリサボロール アトピー性皮膚炎治療

PDE5  (cGMP)

アルツハイマー病 治療標的候補

肺、血小板、平滑筋、心臓、内皮細胞、小脳 皮質、海馬、(CA1、CA3)線条体に分布

血管の直径を拡大させる。cGMP

アルツハイマー病患者、高齢者ではPDE5は極めて低い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17553001?dopt=Abstract

PDE5阻害剤

シルデナフィル

PDE6も強力に阻害する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12218418

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12694895

ダダラフィル
PDE5への選択性はシルデナフィルよりも高く持続性が高い。PDE11も強力に阻害 

シルデナフィル、タダラフィルともアミロイド負荷を変化させなかったが、血液脳関門を通過し、マウス海馬のタウリン酸化を減少させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22776546

バルデナフィル

PDE6も強力に阻害する。

10mgおよび20mgの推奨用量は、健常者の情報処理、反応時間応答、認知または脳波測定に顕著な影響をもたらさなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23427190

イカリイン
ケルセチン

PDE3、4阻害 PDE3により選択的に阻害

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15476679

アントシアニン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15769121

PDE6 (cGMP)

網膜、松果体、肺、光受容体に分布

神経機能には重要な役割を果たさないと考えられている。

PDE7  (cAMP)

骨格筋、心臓、腎臓、脳、膵臓、Tリンパ球に分布

アルツハイマー病 治療標的候補

炎症 免疫および前炎症細胞において広く発現 

cAMPに高度に特異的

PDE7阻害剤は、アルツハイマー病マウスモデルの前頭皮質及び海馬タウの過剰リン酸化の減少が観察され、有意に記憶障害を改善させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23582662?dopt=Abstract

PDE7B

海馬、皮質、線条体

PDE7阻害薬

歯状回、線条体のcAMP濃度を上昇。抗炎症効果の可能性

ADマウスへのPDE7阻害薬の投与

(1)行動障害の有意な低下

(2)脳Aβ沈着の減少

(3)アストロサイト媒介性アミロイドβ分解の増強

(4)タウリン酸化が減少

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23582662

キナゾリン/Quinazoline

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22100138

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18082290/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3031524/

PDE8 (cAMP)

アルツハイマー病 治療標的候補

cAMPに特異的

精巣、眼、肝臓、骨格筋、心臓、腎臓、卵巣、脳、Tリンパ球、甲状腺に分布

T細胞活性、テストステロン産生、副腎皮質過形成、甲状腺機能へ影響

PDE8A

偏在している。

PDE8B

脳と甲状腺に限定

PDE8B3は脳に最も豊富な形態で存在する。

アルツハイマー病患者(Braak stage III-IV)ではPDE8Bが増加

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12895443?dopt=Abstract

PDE8阻害薬

学習記憶を改善させる可能性

PDE9  (cGMP)

cGMPに最も特異的で高い親和性 

脳、腎臓、脾臓、前立腺、結腸および腸を含む様々な組織に偏在

cGMP特異的酵素であるPDE9は、アルツハイマー病患者の脳で高度に発現することが判明している。

PDE9阻害剤

齧歯類へのPDE9阻害剤投与はシナプス可塑性および認知機能を増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21619887/


ファイザー社が開発中 BAY 73-6691 認知機能には影響を及ぼさないとの報告

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24801218

PDE10  (cAMP/cGMP)

アルツハイマー病 治療標的候補

PDE10A

脳線条体で高度に発現  

精巣、小脳、視床、海馬、線条体に分布

パーキンソン病

統合失調症

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21355834

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18287214

スコポラミン誘発性記憶障害マウスの記憶障害を軽減。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22951181

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21856317

PDE10阻害剤

線条体GABA細胞の活性

パパベリン/Papaverine (アヘンアルカロイド)

en.wikipedia.org/wiki/Papaverine

PDE11 (cAMP/cGMP)

PDE11A

アルツハイマー病 治療標的候補

腹側海馬に多い 

骨格筋、前立腺、精巣、唾液腺、下垂体に分布

PDE11は社会的記憶の統合において特別な役割を果たしている可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3503343/

PDE11の選択的阻害剤は見つかっていない。

PDE阻害剤(植物由来)

カフェイン

非選択的PDE阻害によりcAMP濃度を上昇させる。

ギンコビローバ

PDE4、5、cGMPの阻害

テオフィリン

慢性閉塞性肺疾患の治療に用いられる。

紅茶、ココアなどにも含まれる。コーヒーの代謝産物

遠志(テヌイフォリア)

フォルスコリン(Forskolin)

アーユルベーダで用いられるインドの薬草 cAMP濃度を高める。

レスベラトロール 

PDE1,3,4の活性を抑制。Maurice et al., 2014

ルテオリン

ピーナッツの殻から抽出したサプリメント

PDE1-5の阻害 PDE2とPDE4の二重阻害 PDE5へは弱い

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15769121

ミリセチン/Myricetin

PDE1-5阻害

www.researchgate.net/publication/8238713_Inhibitory_effects_of_flavonoids_on_phosphodiesterase_isozymes_from_guinea_pig_and_their_structure-activity_relationships

ナリンゲニン

PDE1,4、5阻害活性

サポニン

PDE1阻害剤

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1760738/

link.springer.com/chapter/10.1007/978-1-4613-0413-5_26

リグナン

クマリン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15853704

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8853310

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10799242

ネフェリン/neferine (蓮/Nelumbo nucifera)

アルカロイド Nelumbo nucifera Gaertn(蓮)に含まれる。

PDE活性阻害によるcAMP濃度の増加  PDE1,2,3,4,7,8,10阻害

pdfs.semanticscholar.org/714a/63e06a16dfbf002310882c2d313774f9f068.pdf

エッセンシャルオイル

Haplopappus rigidus

Satureja parviflora

Senecio eriophyton

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14692728

その他

多くのアルカロイド

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10654914

ショウブ/Acorus calamus
ビスコリン(ヤドリギ)

PDEの阻害による細胞cAMPの上昇

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17023270

PDE阻害ハーブのスクリーニング

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20005737

LLLT

LLLTによるcAMPレベルの調節

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23342077

LLLT 低レベルレーザー治療

LEDで海馬を治そう(認知症・アルツハイマー)

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