ボーンブロスの効果と危険性について調べてみた

ボーンブロス(骨スープ) 効能とリスク評価

免責事項をお読みください。

draxe.com/recipe/chicken-bone-broth-2/

概要

ボーンブロスとは長時間煮込まれた骨スープのことで、近年、アメリカを中心にスーパーフードとして宣伝され広がりを見せている。

ReCODEプロトコルでも、リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)の治療としてボーンブロスの摂取が推奨されているため、あらためてどういった効能があるか、そしてリスクがあるか調べてみた。

伝統的には、ボーンブロス(チキンスープ)は、風邪を引いた時などの上気道感染の治療として有効であると考えられてきた。

むずかしい用語になってしまうが、チキンボーンブロスが好中球走加性因子を阻害することが、動物モデルの研究で証明されている。

※好中球 = 細菌感染防御の最前線で戦う歩兵、真っ先に感染箇所に動員される。

※走加性因子 = 好中球などの白血球は感染防御時、走加性因子に導かれて炎症箇所へ向かう。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11035691

これは、煮込まれたボーンブロスには、炎症反応を抑制する効果がある可能性を意味する。

そして、ボーンブロスの好中球走加性因子阻害効果は濃度の高さに依存する。

つまり、煮込まれた時間が長いボーンブロスほど、炎症抑制効果が高いといえるかもしれない。

同研究では、ボーンブロスの骨や肉などの固形部分以外の、スープだけでも炎症抑制効果があることがわかっている。

ただ、チキンスープの調理過程は多段階のプロセスであり、多くの複雑な化学的相互作用が起きているため、それらの厳密に実証することは困難な問題である、と論文ではしめられている。

ボーンブロスに限った話ではないのだが、科学的な厳密性を適用して料理のような込み入ったものの薬効を証明しようとするのは非常にむずかしい。

ボーンブロスの主要成分

・コラーゲン コンドロイチン硫酸

・ゼラチン

グリコサミノグリカン(GAG)

・グリシン

・プロリン

・グルタミン(グルタミン酸塩)

・骨髄

・ミネラル (下記参照)

ボーンブロスの効果・効能

・関節炎を緩和

シリコン、カルシウム、マグネシウム、GAGが関節や靱帯機能を正常化し、関節炎の影響を軽減する

・セルライトの減少

コラーゲンが結合組織を作り、セルライトを減少させる

・免疫システムの改善

ブイヨンによる腸内機能の正常化

・抗炎症効果

プロリン、グリシン、アルギニンによる抗炎症効果

・解毒効果

グリシンとプロリンによる解毒効果

・脳・神経細胞

コンドロイチン硫酸が、中枢神経系の新生と可塑性に重要な影響を与える。

適度なカルシウムは神経伝達物質の働きに不可欠

グリシンが、虚血性脳卒中後の神経細胞死を防御する。

・リーキーガットの修復

(下記に記載)

ボーンブロスに含まれるリーキーガット改善成分

ゼラチン

ゼラチンが水を吸収し、粘液層を強化する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4040816/

ゼラチンは腸管上皮細胞のリポ多糖類の炎症増強を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3358810/

グリシン

グリシンは、リポ多糖類によって引き起こされる小腸の損傷を軽減することが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25012270

グリシンはラットの胃液分泌を減少させ、抗潰瘍および細胞保護活性効果を有する。

europepmc.org/abstract/med/9344231

グルタミン

グルタミンは小腸粘膜の成長を刺激し、消化管粘膜と腸壁の機能を維持することに役立つ。

link.springer.com/article/10.1007/s00726-014-1773-4

上記成分を個別にサプリメントで摂取する場合

<グルタミン

CGN L-グルタミン パウダー 454g

<グリシン >

ライフエクステンション グリシン1g 100カプセル

アミノ酸 グリシン100%  1kg パウダー

<ゼラチン>

ボーンブロスの危険性評価

必須ミネラルと有害ミネラル

スープのphを8.38から5.32に低下させると、カルシウムの抽出量が15.3倍、マグネシウムの抽出量が15.3倍に増加

酸性化による銅の抽出量は2倍、鉛、クロム、アルミニウムの増加はそれより小さい。

対照的に鉄は酸性化によって抽出量が減少、亜鉛は酸性化では変化せず。

8時間を超える調理時間は、短時間での調理よりも有意にカルシウムとマグネシウムの抽出量が高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5533136/

ボーンブロスの有害ミネラルリスク

ボーンブロスに鉛が肉と比べて数倍多く含まれることを指摘した研究

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23375414

しかし一食のボーンブロスに含まれる鉛は数μg以下であり、一日の平均的なお米消費量に含まれる鉛の量よりも少ない。

煮込まれた動物が汚染地域で育てられたものでない限り鉛を含め、その他下記表で取り上げられれる有害金属の過剰摂取リスクの心配はしなくても良い。


 鉛 摂取量調査 食品別平均値

平成17~26(2005~2014)

www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_pb/exposure.html


牛骨は豚骨よりも銅の抽出量が多い。

鉄は酢を入れ長時間煮込むことで若干減少する。


長時間加熱されたスープには、高カルシウム血症を起こす可能性のあるビタミンDが高濃度で含んでいるかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5533136/

ボーンブロスのグルタミン酸リスク

長時間煮込むことで、アミノ酸が分解されグルタミンだけでなく、遊離グルタミン酸塩濃度が増加する。

また理論的には、酢を加えることでタンパク質の加水分解が加速し、さらに遊離グルタミン酸の含まれる量は増加する。

グルタミン酸というと悪いイメージを持たれている人も多いかもしれないが、

・ピロリ菌の抑制効果

・小腸の粘液を分泌促進することで粘膜層のバリア機能を強化する

・迷走神経の活性

などなど、有益な効果も数多くある。

www.thehealthyhomeeconomist.com/bone-broth-msg-what-you-need-to-know/

しかし、長時間かけて作られたボーンブロスのグルタミン酸塩を大量に摂取することで、グルタミン酸過剰症を生じる可能性も否定できない

特にリーキーガット症候群、リーキーブレイン(血液脳関門の異常)を抱える(認知症)患者は、グルタミン酸塩が安全なグルタミンに代謝されずに血液脳関門を超え、ニューロンの興奮毒性、神経細胞死をもたらす可能性も潜在的に考えられる。

グルタミン酸とグリシンの摂取量が、脳卒中による死亡リスクと有意に関連しているという、ちょっと気になる研究もある。

jn.nutrition.org/content/145/4/720.long

煮込まれたボーンブロスの遊離グルタミン酸塩が、実際どれくらい含まれているか、調べた限りでは研究は見つからなかった。

他のグルタミン酸を多く含む一般的な食品と較べて特段多いというわけでもないという批判意見もあり、実際に有害性があるかどうか結論はだせない。

消化管機能が正しく働いている限り、グルタミン酸のほとんど(95%以上)は消化管粘膜上皮で、他のアミノ酸やタンパク質合成に利用さる。(in vivo)

そのため大量に摂取しない限り安全とは思われるが、念のため、グルタミン酸(MSG)感受性を持つ人や、リーキーガット、リーキーブレインを抱えている人は摂取量を控えるなど注意しておいたほうがいいかもしれない。

ラクトバチラス・プレビスによるグルタミン酸分解

ザワークラウト、ピクルス、キムチなどに含まれる乳酸菌ラクトバチラス・プレビスはグルタミン酸ナトリウムをGABAへと代謝する機能を高くもつ。

研究で実証されているわけではないが、ボーンブロスと併用することでグルタミン酸毒性を軽減し、認知症患者で低下が見られるGABAを増加させることができるかもしれない。

グリシンのメリット・デメリット

メリット

グリシンはラットの脳および腸間膜の微小血管拡張作用をもつ。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23366470


ラットへのグリシン投与40mg/kgは強力な血管拡張作用をもたらす。

細動脈の直径は投与後1~3分で250%に増加し5~10分間持続した。

グリシンを繰り返し投与することにより、細動脈の拡張も誘導された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16224578


アルコール処理によって脳浮腫を示したラットは、グリシン処置によって有意に緩和された。

ラットの脳におけるコレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸およびトリグリセリドの蓄積を著しく減少させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14581719

デメリット

グリシンは鉄の代謝吸収経路にも関わるため、毎日飲み続けることで体内の鉄濃度を高めるかもしれない。

鉄分がアルツハイマー病を引き起こす?


グリシンが鉄の貯蔵経路に関与していることから、グリシンが鉄の貯蔵を高め酸化反応を促進し脳卒中のリスクに関連している可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23615880?dopt=Abstract

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19133145?dopt=Abstract


アスパラギン酸、グリシンと鉄との混合溶液は鉄吸収を有意に増加させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6491942

ボーンブロスのまとめ

何の肉を煮込むべきか?

煮込む骨は牛、豚、にわとり、基本どれでも成分的には大きな差は生じない。

骨以外の肉も一緒に煮込むなら、おすすめとしては鶏の手羽

理由は以下の通り

・鉄、銅が少ない

・骨容積が小さいため短時間抽出が可能

・ゼラチンが豊富で飽和脂肪酸が少ない

・低コスト

・平飼いの有機的な鶏手羽も、牛豚に比べれば入手しやすい

煮込みに使う調味料等

ボーンブロス お酢を入れて煮込むことで一時間程度でも骨からのミネラルは一定量抽出できる。 ※マグネシウムを除く、骨の大きさにも依存する

一般的には浸透圧をあげて抽出量を高めるため、煮込むときには酢をのぞき塩などの調味料は入れないほうがいい。味付けは直前に行う。

グルタミン酸対策として、キムチやピクルスなどに含まれる乳酸菌(ラクトバチルス・プレビス)を併用することで、グルタミン酸毒性を無毒化しGABA増加によって、有害リスクを有益な成分に変えてくれるかもしれない。

認知機能を改善する乳酸菌(プロバイオティクス)

長時間煮込んだボーンブロスについて

長時間煮込んだボーンブロスは、主にアミノ酸とマグネシウムの含有量が多い。

成分的には長時間煮込むことで、身体の修復作用が高まる成分に変化すると言えるかもしれない。

一方で長時間煮込まれたボーンブロスはグルタミン酸濃度が高まっている可能性もあり、グルタミン感受性をもつ人は煮込み時間を短め(4時間未満)にしておいたほうが良いかも。

その他

骨だけのボーンブロスの場合アミノ酸バランスが良いとは言えないので、メインの栄養源ではなく薬効的な用い方が中心となる。

総合的に考えると、ボーンブロスは年中飲み続けるものではなく、腸粘膜修復のために期間限定で時々取り入れるべき食事法ではなかろうかというのが、管理人の暫定的な結論。

ボーンブロスのレシピ研究

chriskresser.com/the-bountiful-benefits-of-bone-broth-a-comprehensive-guide/

link.springer.com/article/10.1007/s00726-014-1773-4

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