リコード法 運動による認知機能改善 4つのフェーズ

アルツハッカー エクササイズ・ガイドライン

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子どもたちに「さあ、運動する時間だ」などと言っては駄目だ。

そんなことをしても、しらけさせるだけだ、

それよりも「公園へ行って遊ぼう」と誘うんだ。

そして子供と一緒に走り、ブランコに乗って、平均台の練習をすれば、遊んだふりの全身トレーニングになる。

アーノルド・シュワルツェネッガー

はじめに

リコード法では運動の指針は述べられているが、詳細な方法論についてはほとんど述べられていない。

そのたため、認知症患者、高齢者への身体活動に関する研究、文献をベースに、管理人のアイディアも盛り込み、運動を始めようとする認知症患者さんのための記事を作成してみた。

運動の優先順位

認知機能を改善する運動の種類と優先順位は以下の通り

1. 有酸素運動(持久力を鍛える)

2. 筋力トレーニング(筋肉を鍛える)

3. コーディネーショントレーニング(運動神経を鍛える)

4. ストレッチ運動(自律神経を鍛える)

5. 脳トレ運動(脳をダイレクトに鍛える)

最重要は有酸素運動と筋トレ

この順番を奇妙に思う人もいるかも知れないが、これまでの多大な運動の研究の結果、認知機能への効果と証拠の強さはおおむねこの順序の運びとなる。

リコード法においても「有酸素運動」「筋力トレーニング」の2つが最優先されており、この2つは、認知症治療において外せない運動の2つ。

しかし、有酸素運動も筋力トレーニングもその認知的利益を得るには一定の運動強度が必要であり、そのためのスキルを身につけたり、モチベーション維持する工夫の必要がある。

取り組みやすさ、運動の継続性の容易さ、という視点から見ると、この順番は逆さまになってしまうかもしれない。。

その他の運動・身体活動にも役割がある

また、3.4.5.の運動もそれぞれ、認知機能へ異なる影響をおよぼすため、1.2.とは別に行うことで、認知機能に付加的に作用がある。

荷物を運んだり、倉庫の整理、徒歩での買い物などの日常生活に伴う活動は、一般に運動と見なされない傾向にあるが、3.4.5.の運動の要素を兼ね備えており、活動の仕方によって、その他の運動、スポーツに引けを取らない抗認知症効果があることも知っておいてもらいたい。

どれから始めるべきか?

ただし、「有酸素運動」「筋力トレーニング」に関してだけは、日常生活の活動の範囲で補うことはむずかしい。

そこで、まず普段運動をすることがない認知症患者、高齢者を念頭に、まず日常生活の運動の拡充をはかり、そしてそこから本格的な運動に移行していくプランを提示したい。

1.日常生活運動

家事労働、階段の上り下り、畑仕事、散歩などはこれらに該当する。

<日常生活運動>は一般的に過小評価されており、ちょっとした工夫次第で健康や認知機能への有益な効果を相当に得ることができる。

また活動的な生活は、非活動的な生活による死亡率や疾患を防ぐというマイナスを埋める運動としての意義も大きい

・座りっぱなしの生活と死亡率の関係

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4960753/

ただし、独立で行われる「有酸素運動」「筋力トレーニング」で得られるの特有の改善効果はないため、<日常生活運動>を備えた上で、それらの運動を別枠で考えていく必要がある。

ウォーキング

日常生活運動の中でウォーキング(買い物、通勤、散歩)は認知症患者にもっとも望ましい運動

歩数計は必須アイテム、毎回歩数を確認する。日常生活運動では家事労働などの歩数も含めて良い。

3~7日間隔で500歩ずつ増やしていき、1日あたり8000歩を目標とする。

組み合わせ

日常生活運動は、他の運動と組み合わせていくことが可能であり、多くの選択肢があることも利点。

コツは新しいルーチンでやってみること。例えば家の片付けなら、普段しない家の倉庫を整理してみる、

買い物に行くときに、いつもと違う道を歩くことで<日常生活運動>と「脳トレ運動」の組み合わせが実現できるなど。

2.習慣化フェーズ

楽しめるかがすべて

日常生活運動から独立して運動自体を目的とした時間を作るが、日常の身体活動と組み合わせるなどの工夫を行うのも良い。

運動を習慣化させるために、運動を楽しいと感じるかどうか(自己効力感)、そして継続するかどうかがこのフェーズのすべて。

どんな運動でもOK

運動のタイプは本人が良いと思うものであれば基本なんでもよく、ヨガ、太極拳、卓球、テニス、ゲートボール、または生活環境に容易に取り入れることができそうなものを加えてみる。

うつ傾向にある高齢者では、ヨガなどの柔軟運動が遵守率が高いという研究報告がある。

コミュニティーではなく運動仲間を見つける

習慣化フェーズで特定の運動のグループと仲良くなると、そのフェーズから抜け出せなくなる可能性があるため、このフェーズでは運動コミュニティーよりも一緒に後で有酸素運動、筋トレに移行できる運動仲間が理想。

スキップしても良い

本人が楽しめそうと思えば、その重要性から「有酸素運動」と「筋力トレーニング」を軽めにゆっくりと始めるといったスタートも良い。

運動の継続に自信がある人はこのフェーズはスキップできる。

参考

ビデオ動画運動

ランダム化比較試験 虚弱な高齢者への自宅でのビデオ動画運動プログラムによる訓練 遵守率は83% トレーニンググループでは体力テスト、運動疲労スコア、ハンドグリップ、上腕二頭筋強度、椅子の立ち上がり、10mの最大歩行速度において、8〜35%の有意な改善が観察された。対照群では有意な減少が観察された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19039291

3.有酸素運動

運動が習慣化した後に、有酸素運動(坂道ウォーキング、ジョギング、自転車、水泳など)を加えるか置き換えていく。

例えば、すでにヨガやエアロビクス行っていたのであれば、それらをきつめに行うことで「バランス運動」「柔軟性」「有酸素運動」を同時に行うこともできる。

高齢者は ゆっくり散歩 → 早足散歩もOK

・高齢者の場合、早足のキビキビウォーキング(時速5km~)は有酸素運動のカテゴリとして含めることが可能。その場合早足5000歩を目標とする。

・坂道も傾斜角度にもよるが、高齢者だと普通に登り歩くだけで有酸素運動域の心拍に達する傾向にある。

坂道に住む居住者では2型糖尿病のリスクが低下する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3878017/

心拍数/分で考える

心拍計は必須アイテム

有酸素運動であるかどうかは、一分間の心拍数で判断する。心拍計はマストアイテム。

目標心拍数(目安)
50歳代 125~135拍/分
60歳代 120~125拍/分
70歳代 115~120拍/分
活動的ではない高齢者 100~120拍/分

運動を普段まったくしない高齢者の最初の目標心拍数は100~120拍/分

www.jstage.jst.go.jp/article/jans1981/12/2/12_10/_pdf

頻度も大切

40分間/回 週5日

を最終目標とし、2ヶ月間をかけて(高齢者では2~4ヶ月)目指す。

高血圧や慢性疾患のある患者さんはお医者さんに相談すること。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)

持続的な有酸素運動が習慣化すれば、取り入れてみても良い。

aaptiv.com/magazine/hiit-for-seniors-benefits

HIITと有酸素運動の遵守率は同じ

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3181282/

高齢者向け HIIT 階段上り

20秒階段をあがる、または20段の階段を上がる(慣れたら30段まで増やす)

90秒休憩、またはゆっくり降りるか上る

これを4-6回繰り返す

週に一回行う。 慣れたら週に2-3回行っても良い。

高齢者向け HIIT フィットネスバイク

ウォームアップ  5分間軽くこぐ

(20秒全力でこぐ > 軽く90秒こぐ) 4-6回繰り返す

クールダウン 2分間軽くこぐ

4.筋力トレーニング

筋力トレーニングの恩恵をもっとも受けられるのは若者ではなく高齢者。

有酸素運動が習慣化したら、筋力トレーニングを視野にいれる。もちろん並行して始めることが可能ならなお良い。

一般的に高齢者に勧められる筋トレはパワートレーニングまたはスロートレーニング

トレーニングタイプを組み合わせる

抵抗トレーニングとパワートレーニングでは鍛えられる主要な筋繊維のタイプが異なるため、組み合わせて行うことが望ましいだろう。

抵抗トレーニング + パワートレーニング

これらは同じ日に行っても良いが、通常は別々の日に行う。

頻度

最初は週に1回から 目標は週に2回

高強度で行っている場合は週2回まで。

中強度で行っている場合は3回以上行っても良い。

抵抗トレーニング

重量物を使って少ない回数で筋力を鍛えるトレーニング

認知機能への改善効果の証拠が多いのはウエイトトレーニング

加齢では速筋(タイプⅡ繊維)が衰えるため、ウエイトトレーニングが向く。

フリーウエイト

高重量のダンベルやバーベルを使ったトレーニング

メリット

技術を身につければ最も効果が高い。

自由度が高いため、筋肉をバランスよく鍛えることができる。

ダンベルであれば自宅で行うことが可能。

デメリット

軽いウエイトの重さでパワトレなどを行うのであれば問題ないが、実際問題として高強度による抵抗トレーニングを行うには怪我のリスクが高く一般の高齢者にはすすめられない。

正しいフォームを身につけて行う必要があるため、記憶障害をもつ場合、毎回指導する必要がある。

筋トレマシン

メリット

安全性が高く、その分負荷を高めることで効率の良い高強度運動が可能。

フリーウエイトほど学習を必要とせず直感的に扱えるため、記憶障害のある人に行ってもらいやすい。

重量や回数など数値的な目標を励みにしやすい。

デメリット

施設などでしか利用できない。

スロートレーニング/スロトレ

ゆっくりとした動作による負荷で鍛える筋トレ

メリット

器具を使わずに安全にできる。

スロトレは、歩行能力(歩行周期変動性、左右非対称性)を改善するのにより有効

www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_1247/_article/-char/ja/

デメリット

スロートレーニングはタイプⅠ繊維、タイプⅡ繊維両方を鍛えるが、効果はそれぞれパワートレーニングとウエイトトレーングに比べて劣る。

ウエイトトレーニングで20kgを上げることができた、といったような数値的指標を持ちにくく、じわじわとゆっくり行う動作に達成感を感じにくかったりする。

パワートレーニング/パワトレ

早い動作と軽い重量による高回数によって、筋肉の収縮スピードを鍛えるトレーニング

健常高齢者の身体機能の改善にはパワートレーニングがレジスタンストレーニングより有効

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12586856

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17146693

寝たきりでは遅筋(タイプⅠ繊維)が衰えるため、タイプⅠ繊維を鍛えるパワートレーニングが向く。

高齢者に必要な運動能力は筋力よりも筋スピード

高齢者の日常生活において求められるのは、重たいものを動かす力よりも、素早く動くことができる能力。例 転倒時にバランスをとる、アクセルからブレーキに踏み変えるなど。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3902133/

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